月下の恋人…missing
第2章 葉月
思い出は優しいね――…
『まゆ――― …はいっ!オレンジジュース』
缶の冷たさに現実に引き戻される。
「ありがと。ママ」
現実は残酷過ぎて
まだ今の私はこうして思い出の暖かさに浸る事でしか
生きて行くすべがないよ
光にぃ―――…
何処までも続く暗闇に
見えない道しるべがまだ続いている事に気付けずに
また過去へ浸る