月下の恋人…missing
「えっ…!ちょっ」
ストンと降ろされて戸惑っている間に、無言のまま壁と光にぃの間に挟まれる。
『俺を見て』
光にぃの前髪が私のひたいにかかるくらいの近すぎる距離と
勝手な行動をとっていた罪悪感で、目をあわせられなくてうつ向いたけど
壁についた光にぃの両手に挟まれて、気まずさから逃げさせてくれなかった。
『まゆ。ちゃんと俺を見て』
切ない呟きに、勇気を出して見上げると、真っ直ぐな視線とぶつかる。
『あの時、全部聞いた?』
「あの時って」
『まゆ。』
真剣な瞳に嘘はつけなくて
だけど認めてしまうと、ただ頼るだけの弱い女になってしまうようで、素直にうなずく事が出来なかった。
『それで自分が消えればいいって考えた?』