月下の恋人…missing
密月
―――――
―――――バタンッ!
『タケシ。出せっ!』
「なんか良く解らないけどぉ♪了解っす!二人ともしっかりつかまってて下さいねぇ♪」
そう言ってニコッと笑うと、タケシはアクセルを全開に踏んだ。
渋滞をすり抜けて首都高に入る。
「ここまで来たら、もう大丈夫っすね。」
まゆと俺はただ手を繋いで黙っていた。
隣にまゆがいる―――
やっと逢えた…
それだけで充分で、俺はあの夜から続いた緊張からやっと解き放たれて
自然と体の力が抜けて行くのを感じながら、流れる景色を見つめていた。