月下の恋人…missing
「探したんだよっ!探しまくったんだけど…。」
『嘘っ?!』
「ごめんなさいっ…」
顔の前で両手を合わせてオデコをテーブルに着けた。
頭の良い美姫の、綺麗にまとめられた世界史のノートは
何故か綺麗に私の目の前から姿を消してしまった。
最後に見たのは鞄の中で、どんなに探しても見つからず今に至る。
美姫からは何の返事もなく、流れる気まずい空気に頭を上げる事が出来ずにいると
『いいよ。無くしちゃった物はしょうがないし。誰かに借りるから。』
゛はいはい。顔を上げて゛と優しい声が聞こえた。
あっさりと許してくれた事に驚いて美姫を見上げる。