月下の恋人…missing
コアなファンで美姫が押さえた席は、一回一列目センター。
細かい表情までばっちりと見える、ファンにとってはプレミア席。
と言う事は―――
相手からも良く見える訳で……。
私にとってそれは、最悪な席だった。
(どうか早く終わりますように……)
全体がピンク色の空気で、変な汗をかいている手の平をギュッと握りしめた時
周りは奇妙な動きを始めた。
うわっ………。
5000人が曲に合わせて踊ってるっ!しかも揃ってるし……。
「すっ…スゴい…。」
異様な光景に呆気に捕られて、ついつい顔を上げていた事に気付いた時には、もう遅かった。
『あ゙っ―――!!』