◇貴方は俺だけの【極上】シュガー◇
「ポイントカード無料でお作りできますが、いかがですか?」

「じゃあ、お願いします。」

「こちらのカードにお名前又はニックネームをご記入下さい。」

ポインドカードには、このカフェのロゴと赤い小さなベリーがあしらわれていた。

その一番下には名前を書くスペース。

名前かニックネーム…

俺は一瞬考えて、ニックネームを書くことにした。

「鈴(スズ)…さん、ですか?」

「ええ。あっ、良かったら俺の名刺どうぞ。」

名刺を渡すと、両手で持ちマジマジと見ていたから、きっと名前の読み方が分からないのだろうと思った。

「坂木鈴馬(サカキリョウマ)です。スズのウマと書いてリョウマ。」

「坂木、鈴馬さん…」

「棒が一本多かったら、サカモトリョウマだったんですけどね、ハハハッ。」

「あっ、ホントだ。」

これは営業でよく使う挨拶で、だいだいこれを言うと一発で名前を覚えてくれる。フルネームを覚えてくれなくても、印象には残りやすい。

2回目に会ったときに、名前なんだっけなんて言われたら敢えて「坂本龍馬です!」なんてボケたりする。

そんなんで、営業にはかなり向いている名前ではある。


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