この政略結婚に、甘い蜜を〜溶けるような夜を共に〜
「電話終わって戻ったら、華恋がいなくなっていて……。列に並んでいた人が「中国人っぽい男二人組に連れて行かれた」って教えてくれて、華恋のスマホのGPS機能で居場所を探したんだ。……間に合って、本当によかった」

零の瞳から涙が一筋溢れる。汗でシャツが体に張り付き、それほど心配してくれたのだと、申し訳なさと嬉しさが込み上げてくる。

「零さんのおかげで、助かりました。ありがとうございます……」

これ以上零を不安にさせたくないと、華恋はニコリと微笑む。細く華奢な指でその涙を拭うと、華恋の手に零の手が重なる。

「華恋、もう離れないで。片時も離さないから」

「はい。私は零さんのそばにいます。だから、離さないでください」

互いに見つめ合い、華恋は目を閉じる。可愛らしいピンクのグロスが塗られた華恋の唇に、零の唇が軽く触れる。一度触れた唇は、その後何度も離れては触れるを繰り返す。

「んっ」

「ハァッ……」
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