この政略結婚に、甘い蜜を〜溶けるような夜を共に〜
「隠さないで、もっと見せて?華恋は僕の世界一大切で、世界一愛している人なんだよ。この体は、世界で一番綺麗な体だ」

零にそう言われ、華恋の心臓が高鳴っていく。恥ずかしいほど褒められて華恋が固まっていると、隙ありと言わんばかりにまたキスをされた。二人の距離が近くなり、互いに触れ合っていく。

初めての夜は、華恋にとって少し恥ずかしいものだった。だが、忘れられないほどに熱くて甘いものとして、華恋の記憶に刻まれることとなる。



それから数年後の春、桜の花びらが舞い落ちる道を華恋は歩いていた。その手には可愛らしいイラストが描かれた母子手帳があり、華恋のお腹は大きくなり始めている。

「ただいま」

家のドアを華恋が開けると、「おかえり。健診はどうだった?」と零が走ってくる。彼は仕事から帰ってきたばかりのようで、まだスーツだった。

「僕も会社を早退して健診、付き添った方がよかったよね。バス停から家までちょっと距離あるでしょ?」
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