この政略結婚に、甘い蜜を〜溶けるような夜を共に〜
零が心配げに華恋に訊ね、華恋はあまりの心配ようにクスクスと思わず笑ってしまう。

「零さん、ずっと健診付き添ってくれているじゃないですか。それに、つわりも落ち着いたので一人でも大丈夫ですよ。ちょっとは運動をしないと、お腹の子にも悪いですし」

「それでも心配だよ!次の健診は絶対について行くからね!」

零はそう言い、華恋のお腹を撫でる。その目は愛おしそうだ。元気に生まれてきてね、と声をかけてキスを落としている。

華恋が前に妊娠をした際も、零はいつも健診に付き添い、産婦人科の先生とも仲良くなっていた。そして、華恋が動く前に家事のほとんどをしてしまうほど過保護になってしまった。出産はもちろん立ち会い、育休もしっかり取って育児をしてくれた。

「今回も育休を取るんですか?」

「もちろんだよ。子どもの成長はあっという間だからね。しっかり見ておきたいから」

ニコニコと笑う零を見て、華恋は幸せを感じながら靴を脱ぐ。そしてリビングに入ると、「お母さん、おかえりなさい!」と言いながら四歳になる娘の萌花(もか)が走ってくる。
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