この政略結婚に、甘い蜜を〜溶けるような夜を共に〜

「エミリーさん、お義兄さん、おめでとうございます！とっても可愛いです！」

「おめでとう、二人とも。近々お祝い贈るね」

産まれたばかりの命を見て、華恋の心がジワリと温かくなる。零も瞳を潤ませていた。そんな二人の前で、龍羽はエミリーを優しく抱き締めている。龍羽とエミリーは、幸せそうな目を互いに向けていた。

「フタリとも、アリガトウゴザイマス！とってもゲンキなbabyデス」

「男の子なんだ。名前はユウゴとヒロ。これからの毎日が楽しみだ」

幸せそうな二人を見て、零もニコニコと笑っている。その横顔を見て、華恋はふと自分たちの夫婦の関係のことが頭に浮かぶ。

結婚当初は、華恋は零に対して恋愛感情は抱いておらず、唇を重ねることすらなかった。両想いになってから、抱き締め合ったりキスをすることは増えたものの、普通の夫婦のように体を重ねてはいない。一度もないのだ。

（零さんは、体の関係がないことは嫌じゃないのかしら……）