この政略結婚に、甘い蜜を〜溶けるような夜を共に〜

人気のない路地裏に連れて行かれ、華恋の体は壁へと押し付けられる。一人が華恋を逃げないよう押さえ付け、もう一人はかばんからスマホを取り出してカメラを華恋の方に向けた。それを見た刹那、華恋は自分が何をされるのかを悟り、体を震わせる。

「誰かーーーんんっ！」

大声を出そうと口を開けた瞬間、ハンカチを口の中に押し込められ、言葉を封じられる。両手を体の上で一つに拘束され、華恋の着ている服のボタンを外されていく。

（零さん、助けて……。触れていいのはあなただけなのに……）

下着があらわになり、男性が舌なめずりをした。撮影している男性もニヤついている。男性の手が華恋の体に触れようとし、華恋はその目から涙を流しながら、これから起こる地獄に絶望していた。その時ーーー。

「華恋！！」

零の大声が聞こえ、華恋は顔を上げる。制服を着た警察官を二名連れた零が、華恋の元へと走ってきた。男性二人は華恋を離してその場から逃げようとするものの、警察官にすぐに取り押さえられ、その手に手錠がかけられる。