君との恋を忘れたわけじゃないから。
「じゃ、またな。気をつけて」
「うん。バイバイ」
彼は電車通学なので、徒歩の私とは駅でいつもお別れする。普通のカップルだったら、本当は逆なんだけど、これがいつもの私たち。
いつも通りバイバイしてから回れ右をする。
今日も素っ気なかったな………。私たち、もう終わりなのかな。
私は無意識にそんなことを考えて、マイナスな思考回路に陥ってしまう。付き合った頃を思い出して、ぎゅっと胸が締め付けられた。
***
数日後。
いつものように学校が終わり、彼と待ち合わせしてから学校を出る。
クラスが別々ということもあったのかもしれないけど、ここ数日全然会わなくなった。スマホでメッセージを送っても、返事は遅いし、素っ気ないものだったし。
今日だって私が会いたくてようやく一緒に帰ろう、と一方的だったけど約束した。いつもそう。全部、私から。
「………なぁ、今日少し時間あるか?」