君との恋を忘れたわけじゃないから。

珍しく彼から話がはじまる。


私はびっくりしたけど、それが嬉しくて笑顔で頷いた。



「うん!時間ならあるよ!どっかよってく?」



だけどその嬉しい気持ちはすぐに無くなった。だって………彼の表情を見た瞬間、わかってしまった。


………ああ、これから話すのはきっと楽しいことじゃないなって。



「そう、なら良かった。ちょっとそこの公園で話そう」



彼は淡々とそう告げた。


そして私は軽く頷く。ズキズキと痛くなる胸。これから話すのは………別れ話だ。



「………ん。悪いな、こんなとこに付き合わせて」


「ううん、ありがとう。大丈夫だよ。私も………話をしたかったし」



公園のベンチに座ると、飲み物を買ってきた彼が私の大好きなココアを差し出す。


それを受け取ると、手のひらでぎゅっと握りしめる。落ち着け………。今に始まったことじゃない。


本当は薄々気づいてた。


彼に、私への気持ちがなくなっていたことを。
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