君との恋を忘れたわけじゃないから。

こんなことが続いても苦しくなるだけだから別れた方がいいってことも。



「………で、話って？」



貰ったココアを1口飲む。


するとココアの甘さが口いっぱいに広がった。長い沈黙が続いていたけど、それを破ったのは私だった。この空気が苦しくて、息をするのもやっとだった。



「………俺と………別れて欲しい」



すっと息を吸って、そっと吐き出された言葉。


私は顔をあげる。私を見る彼の目は真っ直ぐで。少しの迷いもなかった。



「………そっか。私のこと、もう好きじゃなくなった………？」



私はずっと君に恋をしていた。


君にしか、恋をしたことがなかった。だから………終わりがこんなにあっさりしたものになるとは思わなかった。



「ごめん………。気持ちが無くなったとかじゃなくて………。一緒にいると苦しくて仕方ないんだ。一緒にいすぎて、辛くなったんだと思う。だから……距離を置きたい」