君との恋を忘れたわけじゃないから。

見ているこっちも苦しくなる。



「………ありがとう。こんな俺を好きになってくれて。これで終わり………だな」


「うん。こちらこそありがとう………。またいつかね」



最後は笑顔でお別れしたかったから、無理やり口角をあげる。


かなり不格好な笑顔になってしまったけど、これでいい。これが、私の精一杯の感謝だ。



「また、な」



バイバイと手を振ってから立ち上がる君。


いかないで、と心の中で叫んでしまう。だけどそれは私が言ってはいけない言葉。


彼の姿が見えなくなった頃、つーっと冷たい何かが頬を伝う。


………私、泣いてるのかな。



「………ふぅ、……ヒック……。なんで………こうなっちゃったの………」



彼からの最後の贈り物を握りしめながらその後ひたすら泣いた。


君に恋をして、高校生活が楽しくなった。まさか両思いになれるなんて思わなくて、告白した日は興奮して眠れなかったっけ。
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