君との恋を忘れたわけじゃないから。
私の、大好きだった、彼の声。
「あ、元カレじゃん。挨拶しなくていーの?」
「いいの。あの恋は終わったんだから」
友達もそれに気づいて、そっとささやく。私は一瞬ドキッとしたけど、首を横にふった。
だって、彼との恋は………思い出として閉まっておきたいから。変に気持ちを思い出したくない。
「ふーん。君も大人になったねぇ………」
「誰目線よ………。とにかく、早く写真撮ろ?門出式始まっちゃう!」
だけど………だけどね。
やっぱり私はまだ君のことがまだちょっぴり好きなんだ。この気持ちはどうしても消すことができない。
だからあの時、笑顔でお別れで来て良かったと思ってるよ。
この恋は終わってしまったけど。
君との恋を忘れたわけじゃないからね。
友達と写真を取りながら、心の中でつぶやく。
ありがとう、さようなら。
【終わり】