へっぽこ召喚士は、もふもふ達に好かれやすい 〜失敗したら、冷酷騎士団長様を召喚しちゃいました〜




「本日集まって貰ったのは他でもない。昨日の精霊の森の消失についてだ」




 ミア以外のこの場にいる者は、どうやら状況を把握しているらしく、顔色一つ変えずにリヒトの話に耳を傾けていた。

 何も知らされていないミアだけが、大きく目を見開いた。



「あの森は大昔に賢者がバハムートを封印した地。年々その封印の力が弱まっているのは、皆知っているだろう」


「魔物の増加、出現頻度……全てがそれに繋がっていますからね」


「どこかの部隊が召喚獣なしに戦うもんだから、困ったもんだけどなあ?」



 わざとらしく吐き出した一人の部隊長が、リヒトをキツく睨みつけてくる。



「それで?そこに突っ立ってる女が、第四部隊の召喚士?」


「見たところ、まだ幼いように思えますが……経験もないのでしょうね」


「被害が大きくなっているっていうのに、第四部隊だけが足引きずっているんですよ?団長、そろそろいい加減に使える部隊にしてくれませんか?」


「団長は本部に戻るべきだ。何故そこまでしてあの部隊に執着する?」



 次から次へと溜まっていた何かを吐き出すように、自分達よりも上に立つリヒトに言葉をぶつけてくる。

 普段のリヒトなら、それをねじ伏せて黙らせるというのに、それを一切することはない。





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