へっぽこ召喚士は、もふもふ達に好かれやすい 〜失敗したら、冷酷騎士団長様を召喚しちゃいました〜
12*へっぽこ召喚士の特訓
*
「召喚の条件は適応する属性を合わせて、召喚術を発動……って、わあ!」
朝早くから第四部隊の獣舎は何やら騒がしい。獣舎近くの木々に止まっていた鳥たちは、ミアの声に反応して飛び立っていく。
白い煙が彼女の足元から吹き溢れては、陽の光を取り込む窓の隙間から流れて消えていった。
いつもとは違った気合いの入れようのミアに、魔獣達は朝食を頬張りながら、甘えられる隙を伺っていた。
慌てふためく彼女の姿を見て、しばらくは様子を眺めるだけの方が良さそうだと、危険を察知して視線を朝食へと戻す。
円卓会議の後、ミアはお荷物と言われたこの第四部隊に神獣を喚び出そうと、想いを密かに燃やしていた。周囲から投げられた部隊への不満を、どうにかして払拭したかったのだ。
だからと言って、不得意な召喚術を簡単に扱える訳もなく、ましてや名のある有名な召喚士達ですら召喚出来ない神獣をミアの力で喚び出すことは到底不可能。
そんな彼女の足元には黄緑色のカエルがゲコリと鳴いて現れた。そのまま顔面を目掛けて飛んでくるものだから、短い悲鳴を上げてバランスを崩す。
「いったあ……」
後ろに倒れて尻もちをつくと、カエルは何も気にしてないように獣舎の外へと飛んで行った。