へっぽこ召喚士は、もふもふ達に好かれやすい 〜失敗したら、冷酷騎士団長様を召喚しちゃいました〜
傾いていく日を細めで見つめながら、無意識に零した溜め息に気づく。
やると決めたことを途中で投げたりは絶対にしないが、お荷物になって皆の迷惑になることが怖い気持ちは拭えなかった。
あの子達だって同じ想いをしていても前に進んだんだから、私だってやってみせる。あの子達の世話係……ううん、親として。
戦うことをせずに怯えた様子で檻の中にいた魔獣達の姿は、もう何処にもない。共に過ごしてきた自分の子供のような魔獣達が大きく成長したのなら、ミアがやるべき事はただ一つ。
「信じなきゃ。皆を――そして自分を」
自分が出来損ないだと話しても、ユネスは自分が成長しないわけないと言ってくれた。ユネスだけではない。他の騎士達も同じ思いでいてくれた。
端から自分を信じずに諦めるというのは、彼らの思いを信じないというのと同じこと。
それに気がついたミアは勢い良く起き上がると、魔獣達の夕飯の支度を手際良く行った。
訓練から戻ってきた魔獣達は、ブラッシングを求めてやってくる。甘やかしながら、言葉は通じなくとも今日の出来事を話し、彼らをとことん褒めてスキンシップを図る。
「今日も本当によく頑張ったね!と〜っても偉い!」
「ふぎゅっ」
「みゅー!」
褒めれば嬉しそうに喉を鳴らす魔獣達との、その時間が最高に幸せで、頑張る糧になるのをミアは一番良く分かっている。彼らから貰う温かい気持ちが、明日の自分に繋がるはずだと目一杯に愛情を注いだ。