へっぽこ召喚士は、もふもふ達に好かれやすい 〜失敗したら、冷酷騎士団長様を召喚しちゃいました〜
俯いた顔が赤く染まったのがバレない程の明るさの月明かりに、何度もありがとうと念じた。
褒められたんだ……へっぽこな、この私が。
褒められた喜びと驚きが合い混じって、不思議な気持ちに膝を抱えて顔を埋めた。
「ミアの存在に救われた仲間がここには沢山いる。胸を張れ。俺だってミアに助けられた一人だ」
「私……団長を助けた覚えはありませんよ?」
「馬鹿を言え。先日の会議の時、俺達を庇ってグレモート卿に刃向かったのはミアだろうが」
「あっあれは、刃向かったつもりじゃ……!」
「本来、あの場で皆をまとめるのは騎士団長であるこの俺だ。だが、獣人であるということを知っているグレモート卿相手には、大人しくしていなければ騎士達を危険に晒すことになる。例えどんな侮辱だろうと、俺は受け止めてきた。だが……ミアは違う。俺の大切な居場所を作り出してくれる仲間を、俺を守ってくれた」
あの時の自分を思い返せば、かなりの権力者相手に噛み付いた自分は中々の怖いもの知らずだっただろう。でも、彼らは獣人という立場であっても国を、民を守る誇り高き騎士達だ。
そんな彼らと共に歩んでいくべき国のお偉い様が、侮辱の言葉を口にするなど以ての外だったのだ。