へっぽこ召喚士は、もふもふ達に好かれやすい 〜失敗したら、冷酷騎士団長様を召喚しちゃいました〜



「顔を上げろ。ミア」



 リヒトの言葉に、吹き抜けてくる風を感じながら顔を上げると、真っ直ぐに見つめるアイオライトの瞳があった。


「ペガサスだろうとなんだろうと、召喚獣は召喚獣だ。ここではミア、お前一人にしか出来ない事だ。魔獣達もミアがここに来てくれたお陰で、共に隣を歩める相棒を見つけた。ミアが全部、己の力で成し遂げたんだ。その力でどれだけ俺達が助けられたか。いいか?思いっきり胸を張れ。そして――」


 いきなり近づいてきた顔に思わず目を閉じると、額に優しい温もりが触れた。気配が遠のいていき、恐る恐る目を開けると、満足げに微笑むリヒトがゆっくりと立ち上がっていた。



「これからも傍で、俺を支えろ。これは、団長命令だからな」


「……」


「なんだ?今の命令に不満があるなら、減給してやろうか?」


「ちょ!ちょっとそれはッ……!!」



 リヒトに認められていることが擽ったくニヤけてしまうのに、減給という言葉に青ざめながら、くつくつと笑って騎士舎に戻っていく彼の後ろを追いかけたのだった。

 浮かぶ銀白の月は、そんな二人を優しく照らしていた。
 
 








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