へっぽこ召喚士は、もふもふ達に好かれやすい 〜失敗したら、冷酷騎士団長様を召喚しちゃいました〜
鷲の全半身に、馬の後半身を持つヒポグリフは、グリフォンと同様空を飛ぶことができる魔獣。これで弓部隊の援護をする魔獣が増えたと、一つ頷いてみせる。
「応えてくれてありがとう。これからどうぞよろしくね」
相変わらず魔獣に好かれやすい性格のミアは、召喚したばかりの魔獣ですらいとも簡単に懐く。
歩み寄ってくる魔獣達を撫でながら微笑むと、彼らも嬉しそうに鳴いた。
掴んだ感覚を忘れないようにしようともう一度術を使おうとするが、太陽が真上に昇っていることに気づく。慌てて、召喚した魔獣達を連れながら訓練場から出て獣舎へと戻った。
空いている檻に新鮮な藁を敷き、新しい家を紹介すれば、ご満悦な様子で檻の中に入ってくれたことに一先ず胸を撫で下ろす。
「世話の準備をしてくるから、ここでゆっくり休んでいて」
水を入れた皿を檻の中に入れ、手早く世話役としての仕事に取り掛かる。
召喚の特訓をするのと同時に、他の魔獣達の世話の準備を整えないことは世話係として失格だと、手際良く仕事を進める。自分のやるべきことは何なのか、それがハッキリとした今はミアの動きに無駄は何一つとしてない。
『無理しすぎるな』
「心配してくれるの?」
『あんたが倒れたら、その世話がオレに回ってきて怖いからな』
吐き捨てるように自分の檻の中に戻っていくフェンリルにくすりと笑いつつ、今朝洗った洗濯物を取り込み綺麗に畳む。それが終わってようやく、足がふらついている事に気づく。