へっぽこ召喚士は、もふもふ達に好かれやすい 〜失敗したら、冷酷騎士団長様を召喚しちゃいました〜
エルザとの間に流れる噂にひどく衝撃を受けたのも、嫉妬してしまうのも全部、彼に恋焦がれてしまったから。
見つかった答えに全てが納得いって、薄れていくリヒトにしがみつこうとするものの、流れるままに彼を見送った。
「私、団長の事が好き。だけど……迷惑は掛けたくない。やれること全部やって、団長に褒めてもらえればそれで十分だから」
リヒトと仲間のためにやれることは何か。
その答えは簡単で、沈んでいく体に力を入れて光輝く水面に向かって泳ぎ出す。
例え叶わない恋だとしても、好きだと言えないとしても。私は団長の隣に居たい。こんな欲張り……団長怒るかな。でも、支えて欲しいって言われたから、私はその想いに応えたい。
強く願い水面に揺れる太陽の光へと手を伸ばすミアの隣を、魔獣達が気持ちよさそうに泳ぎながら着いてくる。この想いに寄り添うように、魔獣達はミアを水面へと引っ張るように背中を押した。
高く高く飛ぶように海から出ると、今度は風に乗って広大な草原で皆と駆け巡る。暖かい日差しはどこまでもミアを照らす――そんな、穏やかな夢を見た。
「んん……」
いつの間にか深い眠りについてしまったのだと分かるまで、暫く時間が掛かる。