へっぽこ召喚士は、もふもふ達に好かれやすい 〜失敗したら、冷酷騎士団長様を召喚しちゃいました〜




 積み重ねてきたものが、全て崩れるような音がした。



「召喚が……でき、ない……」



 大切な仲間に支えられて、ここまで少しずつ成長してきたというのに、何も思い出せない。

 掴んだ召喚する際の感覚も、魔獣達の声も。

 ミアの感覚は、冷たい冬の海の中につけられたように感覚を失っていく。

 それだけでは無かった。

 遠のく意識に、身体の力すらも抜けていく。



「はっ……っ!」



 鳩尾を殴られたような感覚に片膝をついて、倒れるのを堪える。呼吸したいのに呼吸ができない。

 何かが自分の中で暴れだしている。そう分かっていても、どうしようもできない。

 何かを吐き出そうと咳き込むが、息を整えたとしても今度は声が出なくなる。



 どうして……?どうしてなの?



 震える手を見つめて力を入れるが、指先に集まる魔力でさえも消えていく。










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