へっぽこ召喚士は、もふもふ達に好かれやすい 〜失敗したら、冷酷騎士団長様を召喚しちゃいました〜
もう自分には何も出来ない、落ちこぼれは皆の足を引っ張って終わりを迎えるのだと、囁かれるようだった。
『そのまま堕ちろ……深くまで。堕ちて堕ちて、沈め』
纒わり付くねっとりとした耳障りな声に耳を塞ぐが、感情が深く深く落ちていってしまう。
――どこまでも深い闇の奥底へ。
「見失ってはダメ!皆を救うって決めたんだから!」
朦朧とする意識の中、全身を震わせるようなハッキリとした声が頭に響いた。闇を切り裂くような、強く熱い思いが、胸に滾る。
それは、ミア自身の強い思いだった。
精神を蝕む何かを突き飛ばし、自分本来の想いを強く強く抱きしめる。
大事な全てを取り戻したミアは、半ば強引に闇を振り払った。
「ミアから離れろ!」
鋭い一撃を繰り出し、切り裂かれた場所から昇り始めた朝日が降り注いでくる。
眩しい朝日の光を浴びて輝くシルバーブロンドの髪は、いつ見ても美しかった。
守りたいと強く願う人が、すぐそこに居た。