へっぽこ召喚士は、もふもふ達に好かれやすい 〜失敗したら、冷酷騎士団長様を召喚しちゃいました〜




 ――お前には神獣の召喚など無理だ。



 ――どうせ落ちこぼれのくせに、調子に乗るな。



 召喚術そのものがミアに対して、否定するように術を歪ませていく。吹き荒れる風は、針のように痛みつけてくる。

 自分に自信を失い、肩を落とす己の姿が脳裏に浮かんだ。

 だが、ミアはその声に揺らぐことなく魔力を注ぎ続けた。

 過去の自分を否定するわけでもない。

 自分には召喚術が出来ないと思う時もあった。それでもここで出会った、支えてくれる大切な仲間が、家族がいた。

 いつか自分を支えてくれる人を、支えたい。その気持ちに、何ら偽りはない。




「私はミア・スカーレット!召喚士よ!!」




 幼き頃に憧れた召喚士という存在に、ただひたすらに努力してその夢を掴んだ。

 それを否定するものは何も無い。

 自分の不甲斐なさに落ち込むこともあるけれど、皆が居たから胸を張っていれる。だから、迷うことなんか何もない!!

 強く目を開けて、ペリドットの瞳で揺れる影を見つめた。









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