へっぽこ召喚士は、もふもふ達に好かれやすい 〜失敗したら、冷酷騎士団長様を召喚しちゃいました〜
「バハムート!貴方の幻術にはもう惑わされない!」
『グォオオオオオン!』
断ち切るようにそう叫んで、見えた一筋の光に想いを込める。
皆の幸せを、守りたいのっ……!!
片手を天高く掲げ、指先に全ての魔力を注ぎ込む。描く魔法陣は光を強めていく。
目の前で静かに息を潜めていた岩が、共鳴するように輝き始めた。
「――そなたを待っていたよ」
直接聞こえてくるその声を手繰り寄せるように、更に魔力を魔法陣に注ぎ込む。
そんなミアを取り込むように、光がミアを見えない何かで吸い込んだ。
一瞬、身体の中で何かが弾ける感覚がしたが、それが何かを考えることなく、目の前にいる大きなドラゴン――浄化の白竜《カタルシスドラゴン》に釘付けになってしまう。
柔らかい毛並みは白銀に輝き、背中に生えた大きな翼からは光が溢れている。
どこまでも続く真っ白な空間の中に、ミアと白竜は宙を漂っていた。