へっぽこ召喚士は、もふもふ達に好かれやすい 〜失敗したら、冷酷騎士団長様を召喚しちゃいました〜
フェンリルは何か心当たりがあるのか、チラリとミアに視線を送る。
『岩の中で一番、神獣の力を感じる場所を言え』
「力を感じる場所……」
独りごちりながら、真剣な眼差しで岩を見つめる。
させるものかと妨害するように、バハムートがこちらに照準を合わせてきた。
怒り狂うバハムートの攻撃は、先程に比べて遥かに威力が増している。
迂闊に近づいたら、攻撃を喰らいかねない。上手く攻撃を交わすが、中々岩の元へとは近づけない。
「っち……本当に厄介なやつだ。切り刻んだ暁に流れる真っ赤な血を、早く拝みたい所だな」
物騒な一言だったが、ミアの中でピンと来るものがあった。
「……!フェンリル!あの岩に埋まっている、赤い魔石目掛けて飛んで!」
『何をするつもりだ?!』
「いいから!早く!!」
普段では有り得ないミアの迫力に負け、フェンリルはバハムートの攻撃を避けた反動を利用し、大地を大きく蹴った。