へっぽこ召喚士は、もふもふ達に好かれやすい 〜失敗したら、冷酷騎士団長様を召喚しちゃいました〜
光を切り裂こうと翼から風を巻き起こすが、押さえつける光の力には勝てなかった。
どんどんと小さくなっていくバハムートを、締め付けていく光の鎖は真っ直ぐに伸びている。
その光景に釘付けになっていたミアは近づいてくる地面に、目をきつく閉じた。地面に叩きつけられる、そう覚悟したが、柔らかい感覚がミアを掬い上げた。
「さあ、ミア――君はどうする?」
真っ白な翼に拾い上げられ、乗せられた白竜の背から見えた、弱々しく済まなさそうな瞳を向けるバハムートを見た。
邪神……そう恐れられるバハムートが、こんな目を向けるなど、誰が想像出来ただろう。
向けられた視線を絡ませながら、ミアは白竜にバハムートに近づくように声を掛ける。もう何も抵抗してこないバハムートは、近づいてくるミアに身を縮こませた。
「……あなたは、ただ怯えているだけなのね」
近づくだけで分かる。バハムートが感じてきた悲しみや、怒り。それに幸せ。
それは白竜が教えてくれた記憶、そのものだった。
『我はロベルツに拾われた身。愛を与えてくれた彼と同じ時間を過ごし、ただ平凡な日常を歩みたかった……だが、それは直ぐに壊された』
白竜の力により徐々に浄化されていくバハムートは、穏やかな声で真実を語り始める。