へっぽこ召喚士は、もふもふ達に好かれやすい 〜失敗したら、冷酷騎士団長様を召喚しちゃいました〜




 彼の想いを、私が受け継いだのなら……やる事は一つ。




 真っ直ぐに見据えるバハムートの瞳に映る自分には、何の迷いもなかった。



「ロベルツは、きっとあなたの封印なんてもう望んでない。彼はあなたの幸せを願っているはずよ」


『……』


「世界を壊してしまう恐怖と、また長い時間独りぼっちにならなきゃいけない寂しさ。その両方の悲しさに包まれて欲しいなんて、彼は思ってないと思う。だって、あなたの事を愛していたんだから」


 バハムートがロベルツを大切に想うように、彼もまたバハムートを想っていた。その気持ちは、今のミアには痛い程分かる。

 大切な仲間を、家族を見つけたミアには、目の前にいるバハムートの幸せを願わずにはいられない。

 だからこそ、この物語を変えなくてはならないのだ。



「白竜、あなたは私と契約した。私は封印という手は選ばない。やるべき事はただ一つ。バハムートを苦しめる闇を浄化しましょう」


『無理だ。それも一度試そうとしたが、我が闇の力は大きい。白竜一匹の力ではもう、この力は抑えきれないのだ』



 力ない声で諦めろと呟くバハムートだったが、喝を入れるかのように、声が響く。
 


『オレ達の存在を忘れては困る』



 ふと、隣を見ればリヒトを安全な場所に置いてきたフェンリルがそこに居た。







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