へっぽこ召喚士は、もふもふ達に好かれやすい 〜失敗したら、冷酷騎士団長様を召喚しちゃいました〜
18*へっぽこ召喚士は今日も忙しい。
*
邪神バハムートが国を騒がせた、あの出来事から数日経ったある日。
ミアの元に一通の手紙が届き、逆らえない内容に渋々辿り着いたその先でゴクリと喉を鳴らす。
豪華絢爛な空間の中で、彼女は背中に流れる冷や汗のせいで背筋が凍る想いでいた。
眩い煌びやかなシャンデリアが照らし出すこの場に、自分がいつか足を踏み入れるだろうなどと想像したことは一度もない。
玉座に座る威厳あるこの国の王を前に、震える身体を誤魔化しきれずに、頭を垂らすしかなかった。
「顔を上げよ。召喚士、ミア・スカーレットよ」
「はっ、はい!」
言われるがまま顔を上げると、尚のこと国王の顔がまじまじと見えるせいで緊張の汗は止まらない。
「此度のバハムート討伐の件、実に見事であった。ここにそなたを彗星の召喚士の称号を与えよう」
彗星の召喚士、それは国の中でも最も優れた召喚士に与えられる称号。
名の知れた有名な召喚士でも、この称号を得られるものはそう居ない。