へっぽこ召喚士は、もふもふ達に好かれやすい 〜失敗したら、冷酷騎士団長様を召喚しちゃいました〜
「はあ……ミアに世話される魔獣達が羨ましくて仕方ない」
「あはは。世話係を選んだのは団長じゃないですか」
「なるほど……俺専属の秘書を任せればいいのか」
「私は召喚士です!!!!」
本来であれば甘えてくる言動を抑えるリヒトが、ここまで言うのだ。
よっぽど仕事の疲れが溜まっているか、若しくは……獣の血がより濃く出てきてしまっているのか。
フェンリルを寝盗られたと嘆く、本部にいるエルザからの地味な嫌がらせにより、書類仕事が次々と増えているのは、この前愚痴を零しているのは聞いていた。
体を張って戦った後に、今度は頭を使うお仕事なんて、確かに大変よね……。
だからと言って、甘やかす気は更々ないミアは何とかリヒトの腕から抜け出して、授かったばかりの称号を見せる。
「本日より彗星の召喚士、そう呼ばれるようになりました、という報告に参りました」
「これでグレモート卿も大人しくなるか。少しは円卓会議もしやすかろう」
「私のこの称号が役に立つことがあれば、何でも言ってくださいね」
まだまだ成長しなければならないと思うが、リヒトの役に立ちたいという思いだけは人一倍強いと、自覚がある。