へっぽこ召喚士は、もふもふ達に好かれやすい 〜失敗したら、冷酷騎士団長様を召喚しちゃいました〜




 十八歳になったこの春にツベルリーツェ魔法学校召喚科を卒業し召喚士の称号を得たばかりの彼女は、もう少し考えて行動するべきだったと後悔の涙が滲む。

 卒業ギリギリの単位で探せる就職先は微々たるもので、そのどこを受けても首を縦に降ってもらえることは無かった。

 親にも担任にもこれ以上の迷惑をかけるものかと必死に就職先を探して、ようやく見つけた新卒求人募集はこの街にあった。藁にもすがる思いで面接を受け、どんな仕事も誠心誠意努めると断言し、あっさり二つ返事で合格出来たかと喜んだのもつかの間。



 ――所属先は王国本部魔獣騎士団。



 所属場所は募集要項の隅に小さな文字で書き記されていて、見落としていたと言うべきか騙されたと言うべきか。


 憧れていた召喚士になったっていうのに、私の命はすぐ尽きそうね……。


 魔物と人間が共存するこの世界には、人間を脅かす魔物も少なからずいるどころか、年々増加傾向にある。そんな危険から人々の穏やかな生活を守るためにいるのが、魔獣騎士と呼ばれる王国軍の騎士達だ。

 彼らは魔獣と心を通わせる能力を持ち、人では歯が立たない魔物を唯一食い止めることが出来る魔獣と共に戦うのを仕事としている。






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