へっぽこ召喚士は、もふもふ達に好かれやすい 〜失敗したら、冷酷騎士団長様を召喚しちゃいました〜

5*へっぽこ召喚士、迷子と出会う








 もぬけの殻になったミアの部屋で一人、まだ微かにシーツに残る彼女の温もりを撫でながら、静かに我に返るリヒトは重たい溜息を零す。


 ……やってしまった。


 後悔が滲む中で、何故か彼女の温もりを独占できたことに優越感に浸る。

 眩しい朝日に目を細めながら、ミアのコロコロと表情を変える顔を思い出しては、眉間にしわを寄せて口元を手で押さえた。


 月の魔力のせいとは言え……欲望を剥き出しにしてしまうとはな。


 ここ数日のミアの仕事っぷりを部下が噂するのを小耳に挟んだり、執務室から見えた彼女の楽しそうに仕事をしている姿を見て、野性的な本能が疼いた結果がこれだった。

 ミアを心配して、獣舎まで顔を見せに行ったのだ。一人の上司という立場なら部下の心配もしてやらねばと、そう思って。

 ただ頑張りすぎる彼女を見て、少し休めと言うつもりが説教紛いのことをしてしまったことを謝るために、部屋に訪るまではまだ理性が働いていたはずだった。

 ところが、いざスヤスヤと気持ちよさそうに眠るミアを前にしたら、謝罪よりも彼女を求める本能が勝り、温もりを求めてベッドの中に無断で入り込んでしまったのだ。






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