へっぽこ召喚士は、もふもふ達に好かれやすい 〜失敗したら、冷酷騎士団長様を召喚しちゃいました〜
ただ、ヒヨコと言っても手乗りサイズのごく普通の大きさではなく、子供のスノウベアといい勝負の大きさは異様に目立つ。
その上モフモフで素晴らしく可愛らしい走りを見せつけてくるのだ。ミアの目は瞬く間に輝いた。
「可愛いっ……!でも、どこか迷い込んだんだろう?」
見慣れないヒヨコの姿に、他の魔獣もどうやら興味津々のようでそちらをじっと見つめている。
魔獣達の熱い視線すらも感じ取らない自由気ままなヒヨコは、届かない高さまで飛んで行った蝶にがっかりしていると、ようやく近づいてくるミアに気づいた。
「ピヨヨ」
まだ警戒心があまりない時期なのか、ミアに対しても逃げるわけでもなく、寧ろ興味津々といった様子で近づいてきた。
触れた手触りに蕩けそうになる顔を我慢できずに、おもむろにヒヨコを抱き上げた。
「ふわふわだあ〜!」
「ピヨヨ〜」
「ふふ、擽ったいよ」
嘴で軽くミアの頬を啄いては、彼女の反応に合わせて嬉しそうに鳴いた。
「これ食べる?」
感情が癒されて自分の世界に入ってしまったミアだったが、何の前兆もなく街の方からけたたましい鳴き声が聞こえてきた。
「っ……!!皆、大丈夫だからね!ここで大人しく待ってて!」
魔獣達に声を掛けてヒヨコを抱きかかえたまま、慌てて騎士舎の方へと走り、非常事態に動き始めた門番達の元へと向かう。