へっぽこ召喚士は、もふもふ達に好かれやすい 〜失敗したら、冷酷騎士団長様を召喚しちゃいました〜





 手に持っていた野菜を啄かれる手応えに、ようやく母親コカトリスが正気を取り戻したと安堵の溜め息を零しつつ、薄らと目を開ける。

 美味しそうに食べる母親コカトリスは、もう警戒心はこちらに向けてはいない。



「良かったあ……」



 しっかりと目を開けて、母親コカトリスの瞳を覗いても身構えたりはしない。寧ろ安心しきっている様子だ。ゴクリと野菜を飲み込んだ母親コカトリスは、自分からミアに近づいて、体を丸めた。



「リラックスしてるのね。ありがとう。私のこと敵じゃないって分かってくれて」



 緊張感が解けた空気に思わず肩の力を抜いていると、茂みに隠れていたヒヨコが母親コカトリス目掛けて走ってくる。



「ピヨ!」


「コケッ!!」



 感動の再開を果たした親子は嬉しそうに羽を広げては、身を寄せ合う。柔らかそうな羽に撫でたい気持ちを抑えていると、道の向こうから騎士達がやって来た。

 ミアがコカトリスに襲われそうになっていると誤解したのか、合図と共に腰から剣を抜いた。



「違うんです!この親子達は襲ってきません!どうか剣をしまって……!」



 折角落ち着かせたというのに、またしても親コカトリスが怒りに染まってしまう。







< 53 / 202 >

この作品をシェア

pagetop