へっぽこ召喚士は、もふもふ達に好かれやすい 〜失敗したら、冷酷騎士団長様を召喚しちゃいました〜
一難が去ったとでも言うように、時計台の鐘が綺麗な音色を響かせる。
「お怪我はございませんか?!」
「えっ、あ……はい」
「まさか召喚士様自らが魔獣と共に魔物を撃退させるとは、お見事です」
「一歩遅ければ被害は大きかったでしょう。感謝致します」
駆け寄ってきた騎士達に安否確認と感謝を伝えられ、後のことは任せてくださいと帰るよう促される。
この場でやる事もないミアは言われた通り元来た道を辿って帰ろうとするが、隣を歩く“白いモフモフ”の存在をどう処理していいのか分からずにいた。
「フェン、リル……よね?」
獣舎の檻の中にいたはずのフェンリルがどうして、ミアの横にいるのか検討もつかない。それに、懐いていないはずのフェンリルが、手綱なしでピッタリとミアの横を歩いている。
なんで?私、檻の鍵を閉め忘れた?いや、そんな記憶ないけど……というか、え?
こんがらがるばかりで頭を抱えたまま、所属する第四部隊の騎士舎へと到着する。