へっぽこ召喚士は、もふもふ達に好かれやすい 〜失敗したら、冷酷騎士団長様を召喚しちゃいました〜
ミアが用意する首輪を嫌々ながらも着けさせてくれ、手綱を握るとすぐさま檻の外へと力強く前進していく。
外で感じる風が好きなのか、吹いてくる風に気持ちよさそうに目を細めた。
「もうちょっとだけでいいから、ゆっくり歩いてくれない?」
手綱に掛かる力に顔を顰めるミアに、フェンリルはふんっと鼻を鳴らすと、抵抗するかのようにぐいっと前へと進む。
あまりの力の強さに為す術なく、見事に芝生の上に尻もちをついたミアをフェンリルは、優雅に見下ろした。
「くぅ〜っ……意地悪」
倒れ込んでいる間は大人しく座って、ミアが立ち上がるのを待つ。その目は明らかに小馬鹿にしているが、ミアは構うことなく手綱を強く握りしめた。
大丈夫、この子は賢い子。この子を信じて、向き合わなきゃ。
嫌がって首輪を外すことも、手綱を噛みちぎって逃げ出すこともしない。フェンリルは人間は嫌ってはいるが、こうしてミアを受け入れようと葛藤しているように見えた。
「まだよ。もう一回、チャレンジ!」
立ち上がったミアを見て、どこか驚いた様子のフェンリルはバツの悪そうな顔をしたかと思えば顔を逸らした。