へっぽこ召喚士は、もふもふ達に好かれやすい 〜失敗したら、冷酷騎士団長様を召喚しちゃいました〜
訓練中ということもあって、クーシーの集中力を乱さないように声を掛けることはせずに、ミアは遠くから訓練を見学することにした。
匂いを覚えさせ、それを探索するという訓練は見事なもので、覚えた匂いを辿り、的確に見つけていくクーシーは、百発百中だった。
「す、すごい……」
それに加え、お互いを信頼し通じあっているからこその素早い動きは、今のミアにとって衝撃と感動を与えた。
訓練に一区切りが着いたのか、訓練に感心していたミアの元へユネスがやって来ると、彼女の顔を覗き込む。
「どうだった?」
「数週間しか関わってないのが嘘みたいです……」
「心を通わせられる魔獣の本来の動きだよ。うちの魔獣達も本来であれば、相棒を見つけてこうやって動いてくれるんだけどね」
「相棒か……」
「ミアちゃんがいい魔獣を召喚してくれれば、それで全て丸く収まるから大丈夫、大丈夫。リヒトからしばらく召喚術禁止させられてるから、先の話にはなるだろうけど」
ユネスの言葉に、喉を詰まらせたミアは思わず咳き込んでから、新鮮な空気を肺に送り込む。ユネスの言う通り本来であれば、新しい魔獣を召喚するのが当たり前の召喚士の役目だ。
しかしミアにとっては、この部隊にいる魔獣達がいらないと言われているようで悔しかった。心を通わせ、共に戦う相棒を召喚士であるミアがこの地に喚ぶ……本来のやり方が正しいが、一生懸命世話をしている魔獣達を除け者には絶対にさせたくない。
第一、私が魔獣を召喚出来るわけないし……って、それもおかしな話しなんだけど。
自分の落ち度にへこたれそうになるが、ミアは気合いを入れ直す。