へっぽこ召喚士は、もふもふ達に好かれやすい 〜失敗したら、冷酷騎士団長様を召喚しちゃいました〜
時折聞こえてくる騎士たちの声に、いつかあの訓練場で魔獣達と一緒に訓練する皆を想像したら、不思議と気持ちが弾む。
「ふぎゅっ」
「ん?どうしたの?」
想像を膨らませていたミアに、突然スノウベアが後ろに隠れるように移動して、我に返る。気がつけば、ぐるりと一周してきたようですぐそこに獣舎が見えた。
様子がおかしく、中々動こうとしないスノウベアを、仕方なく抱き上げて獣舎へと戻る。震えるスノウベアを宥めるように、獣舎の中へ入った途端、ミアの体もビクリと震えた。
「どうやら……サボっていたわけではなさそうだな」
扉に背を預けて、帰ってきたミアに半ば呆れ声で声を掛けたリヒトの姿に、背筋が伸びる。
「だ、団長……なんで、その、ここに?」
「上司が部下の様子を見に来ることが、そんなにおかしいか?」
「すっ、すみません!」
「相性探しだか知らないが、一体何を企んでいるつもりだ」
「それは理由がありまして……!」
説明するものの先日の説教のことだけでなく、部屋のしかもベッドの中に入り込んできたリヒトと、どう顔を合わせていいのか分からないミアは、目を泳がせるしかできない。