君と、共に。(仮)
「では、本日はこれで終了です。改めて、これから一年間よろしくね」
「「「よろしくお願いしますっ」」」

 キーンコーンカーンコーン  キーンコーンカーンコーン
 はじまりの長い一日が終わった。

「桜、散っちゃったねー」
 そう言いながら、校門の所に生えている大きい二本の桜の木を見つめる。
 もうすでに桜の花びらはほとんど散ってしまって、葉っぱが生え始めていた。
 春休みに来たときは、あれほどまで綺麗に咲き誇っていたというのに。

 そうしみじみ考え耽っていると、少し前を歩いていた沙弥に声をかけられた。
「あっ、優香見て。新入生だ」
 沙弥の指した方を見ると、初々しい新入生たちが、校門で写真を撮っているみたいだった。
「わっ、本当だ! 可愛いーっ」

 幸せに満ち溢れている人々を眺めていると、自分も幸せな気持ちになれた。
 まるで、溢れ、零れ落ちた幸せを、両手でそっと掬い上げるような、そんな感覚。
 周りの人が幸せだと、自分も幸せになれた気がした。
 だから、周りにいる人に、少しでも笑顔でいて欲しい。
 そんな、偽善と言われるような感情を、私は本気で信じている。
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