貧乏大家族の私が御曹司と偽装結婚⁈
地下で手土産を買うとホテルの駐車場まで戻り、主任の車に乗りこむ。まさか2回もこの車に乗るとは。そして、今から自分の実家に向かうことになるとは。婚約した実感など湧かないまま、車は走り出した。
「着く頃にはもう夕方近いですよ? 本当に行くんですか?」
土地勘がいまいちで、どこを走っているのかわからない私はそう尋ねる。
「そうだな。向こうには何時に着いてもいいと言われている。なんなら泊まっていくかと言われたがそこは丁重にお断りした」
ハンドルを握り、前を向いたまま愛想なくそう言う主任に、私は「当たり前です!!」と返す。
「こっちに戻るころにはもう夜だな。夜は何にする?」
「何って……ご飯ってことですか?」
主任のほうを向いて尋ねると、「それ以外になにがあるんだ」と呆れたように返ってきた。
「ランチもご馳走になったのに申し訳ないですよ! それに、帰ったら鶴さんのご飯あるし……」
いつもは金曜日に来る鶴さんは、連休に入るからと今回は私が仕事に行っていた月曜日にも来ていて、帰ったらまた冷蔵庫がいっぱいになっていた。
「……鶴さん?」
「はい。って、私が勝手にそう呼んでるだけなんですけど。実は……」
「着く頃にはもう夕方近いですよ? 本当に行くんですか?」
土地勘がいまいちで、どこを走っているのかわからない私はそう尋ねる。
「そうだな。向こうには何時に着いてもいいと言われている。なんなら泊まっていくかと言われたがそこは丁重にお断りした」
ハンドルを握り、前を向いたまま愛想なくそう言う主任に、私は「当たり前です!!」と返す。
「こっちに戻るころにはもう夜だな。夜は何にする?」
「何って……ご飯ってことですか?」
主任のほうを向いて尋ねると、「それ以外になにがあるんだ」と呆れたように返ってきた。
「ランチもご馳走になったのに申し訳ないですよ! それに、帰ったら鶴さんのご飯あるし……」
いつもは金曜日に来る鶴さんは、連休に入るからと今回は私が仕事に行っていた月曜日にも来ていて、帰ったらまた冷蔵庫がいっぱいになっていた。
「……鶴さん?」
「はい。って、私が勝手にそう呼んでるだけなんですけど。実は……」