貧乏大家族の私が御曹司と偽装結婚⁈
5.偽物は偽物でしかないのです
ものすごく緊張して訪れた主任のおうち。蓋を開けてみれば、よく知った人が迎えてくれた。
だから会いたいって言ってくれてたのか、と私は胸を撫で下ろしていた。
「でも教授、お名前違いますよね? だから全然気づきませんでした」
私は教授の出してくださった、それはそれは美味しいマカロンを手に尋ねる。
「旧姓を使っていたのよ? まぁ、あまり知られてはなかったわね?」
教授はニコニコとしながらそう答えた。
この、目の前にいる城山教授には、随分お世話になった。穏やかだけど学生を飽きさせない話術にすっかり虜になり、私は教授のゼミに入った。そして、時々教授のお手伝いをしてはお茶とスイーツをご馳走になり、おしゃべりを楽しんだのだ。
「それにしても、本当はもっと早く遊びに来てもらいたかったの。でも創一さんがなかなか連れて来てくれなくてね。本当に口下手で困るわよねぇ」
明るくそう言う教授とはまるで違い、主任は本当に不機嫌そうに顔を顰めている。そう言えば、学生時代も教授は『息子ってつまらないわよねぇ。全然おしゃべりに付き合ってくれないのよ』なんて愚痴めいたことを言っていたっけ。
だから会いたいって言ってくれてたのか、と私は胸を撫で下ろしていた。
「でも教授、お名前違いますよね? だから全然気づきませんでした」
私は教授の出してくださった、それはそれは美味しいマカロンを手に尋ねる。
「旧姓を使っていたのよ? まぁ、あまり知られてはなかったわね?」
教授はニコニコとしながらそう答えた。
この、目の前にいる城山教授には、随分お世話になった。穏やかだけど学生を飽きさせない話術にすっかり虜になり、私は教授のゼミに入った。そして、時々教授のお手伝いをしてはお茶とスイーツをご馳走になり、おしゃべりを楽しんだのだ。
「それにしても、本当はもっと早く遊びに来てもらいたかったの。でも創一さんがなかなか連れて来てくれなくてね。本当に口下手で困るわよねぇ」
明るくそう言う教授とはまるで違い、主任は本当に不機嫌そうに顔を顰めている。そう言えば、学生時代も教授は『息子ってつまらないわよねぇ。全然おしゃべりに付き合ってくれないのよ』なんて愚痴めいたことを言っていたっけ。