貧乏大家族の私が御曹司と偽装結婚⁈
慌てふためくように社長はそんなことを言い出す。それに乗っかるように専務も続いた。
「そうだ。朝木さん、彼氏いないって言ってただろ? なのに急に婚約だなんておかしいだろう!」
あまりにもこの婚約に反対している様子の2人に、やっぱり何か思惑があったんだと思わずにいられない。けれど、私がまごまごしているのを他所に、創ちゃんはいたって冷静だ。
「もちろん正式な婚約です。然るべき時期に、然るべき場所で、発表する手筈は整っています」
そんな話……初めて聞きましたが……?
私がポカンとしてどうすると思いながらも、唖然としたまま創ちゃんを見てしまった。けど、社長も専務もそんな私に気づいてないようだ。お互い下を向いて何か考えていた。
「然るべき時期……」
社長は難しい顔をして小さく口にしている。
もしかして、思い当たる節でもあるんだろうか? ……私にはないんだけど。
「とりあえず報告だけと思いましたので今日はこれで失礼します」
淡々とそう告げる創ちゃんに、ハッとしたように2人は顔を上げ複雑そうな顔を見せている。
「どうやら祝福いただけないようで残念です」
言葉とは裏腹に、創ちゃんはそう言って笑みを浮かべた。それを見て顔を引き攣らせた社長は「そっ、そんなことはない。おめでとう川村君、朝木君」と、取ってつけたように述べた。
「あっ、ありがとうございます」
私はそれらしくお礼を言ってお辞儀をする。それを見届けた創ちゃんに「行こう。与織子」と促され、背中に手を添えられた。そのまま後ろを向き、扉に向かっていると思い出したように創ちゃんは立ち止まる。
「結婚式の招待状が出来上がったら、またお持ちします。社長にも専務にも、ぜひ参列いただきたいですし」
顔だけ後ろに向けそう言う創ちゃんは、これ以上ないくらい楽しそうだ。
この寸劇が上手くいって喜んでるのかな?
私は背中に創ちゃんからの熱を感じながらそんなことを思っていた。
「そうだ。朝木さん、彼氏いないって言ってただろ? なのに急に婚約だなんておかしいだろう!」
あまりにもこの婚約に反対している様子の2人に、やっぱり何か思惑があったんだと思わずにいられない。けれど、私がまごまごしているのを他所に、創ちゃんはいたって冷静だ。
「もちろん正式な婚約です。然るべき時期に、然るべき場所で、発表する手筈は整っています」
そんな話……初めて聞きましたが……?
私がポカンとしてどうすると思いながらも、唖然としたまま創ちゃんを見てしまった。けど、社長も専務もそんな私に気づいてないようだ。お互い下を向いて何か考えていた。
「然るべき時期……」
社長は難しい顔をして小さく口にしている。
もしかして、思い当たる節でもあるんだろうか? ……私にはないんだけど。
「とりあえず報告だけと思いましたので今日はこれで失礼します」
淡々とそう告げる創ちゃんに、ハッとしたように2人は顔を上げ複雑そうな顔を見せている。
「どうやら祝福いただけないようで残念です」
言葉とは裏腹に、創ちゃんはそう言って笑みを浮かべた。それを見て顔を引き攣らせた社長は「そっ、そんなことはない。おめでとう川村君、朝木君」と、取ってつけたように述べた。
「あっ、ありがとうございます」
私はそれらしくお礼を言ってお辞儀をする。それを見届けた創ちゃんに「行こう。与織子」と促され、背中に手を添えられた。そのまま後ろを向き、扉に向かっていると思い出したように創ちゃんは立ち止まる。
「結婚式の招待状が出来上がったら、またお持ちします。社長にも専務にも、ぜひ参列いただきたいですし」
顔だけ後ろに向けそう言う創ちゃんは、これ以上ないくらい楽しそうだ。
この寸劇が上手くいって喜んでるのかな?
私は背中に創ちゃんからの熱を感じながらそんなことを思っていた。