貧乏大家族の私が御曹司と偽装結婚⁈
最後は少し意地悪な笑みで付け加えられ、心当たりしかない私は顔を熱くした。でも、それを受け入れるのも、ちょっと癪に触る。

「そそそっ、そんなことないもん! かっ、噛んでにゃい!…………あっ」

思い切り言い返して、やっぱり噛んだ私を抱き寄せたかと思うと、創ちゃんは言葉にならないくらいに笑っている。

「そう言うところ。すごく可愛いんだけど」

耳の後ろから聞こえる、創ちゃんの笑い声が混じる低い声。それに、体全体に伝わる振動。両腕で抱きしめられ、伝わる温もり。ずっとこうしていたい、なんてことを思ってしまう。

「だから……。いつの間にか惹かれてた。思い返してみれば、与織子以外にそんなことを思った相手はいない。結局、俺の初恋は与織子だったってわけだ」

耳の後ろを擽る創ちゃんの声。体は一層熱を持ち、自分じゃないみたいだ。そんな私の体を自分からゆっくり引き離すと、創ちゃんは真っ直ぐにこちらを見ていた。
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