貧乏大家族の私が御曹司と偽装結婚⁈
「え、あ、それは、そのっ!」

私がアタフタしていると、創ちゃんは笑いながら私の頭を撫でた。

「それは、ちゃんと結婚するまで待つから」
「えっ! 結婚するの?」
「……しないのか?」

似たようなやりとりが最近もあった気がする。そうだ、婚姻届を書いたときだ。

「与織子が……その気じゃないなら諦めるが……」

あからさまにシュンとしてしまった創ちゃんに慌てて私は返す。

「結婚は大好きな人とするものだから! だからその、創ちゃんしか考えられないと言うか……」

恥ずかしくなってきて、尻すぼみに小さくなっていく声とともに下を向く。そんな私の頭をまた撫でながら、創ちゃんは笑う。

「冗談だ。俺も与織子しか考えられないから。だから、俺と……結婚してください」

顔を上げると、創ちゃんは真剣に私を見ている。これは、冗談ではないはずだ。

「……はい。私でよかったら……」
「俺は……お前がいいんだよ」

フッと表情を緩めると、また創ちゃんは私に近づく。

本当に……唇腫れちゃうよ!

そんなことを思いながらも、私はされるがままにそれを受け入れた。さっきより、少し情熱的なキスだった。
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