貧乏大家族の私が御曹司と偽装結婚⁈
1.いざ煌めく世界へ
「あ、与織姉! やっと帰ってきた~!」
私の部屋の前で、寝間着代わりのスエットに何故か枕を抱えた双子の弟の片われ、いっくんこと逸希がそう声を上げた。
「遅かったね。父さんなんだった?」
心配そうに私にそう言ったのはりっちゃん、理久だ。そしてやっぱり枕を持っている。
双子だけど二卵性だから似ていない弟達は、4月から高3。いっくんはスポーツ万能、勉強は二の次で、ちょっとチャラいんじゃないかと心配になる。りっちゃんは頭が良くて、名前の通り理系の学者タイプかな。どちらも贔屓目じゃなく顔の造りがいいからよくモテる。ちなみに私はいたって普通の顔だ。
「えっとぉ……。都会生活、満喫してこいって……」
視線を泳がせながらそう言って、私は部屋のドアを開ける。
「本当に?父さん、与織姉が家出るの寂しがって泣き落とししてるのかと思った」
背後にいっくんの声を聞きながら、私はドアの横の壁を探り電気を付ける。
現れたのは、古びた自分の部屋。小学生の頃から使っている学習机に、ベッド。作り付けの棚にはお気に入りの本と小物が並んでいる。小学生の頃から変わり映えしないこの部屋の床に、いつもと違うものが置かれていた。
「いつの間に⁈」
私が驚いているのを気にすることなくいっくんはその敷かれた3組の布団の左側に腰を下ろす。
「与織姉と最後の夜だし、小さい頃みたいに3人で寝ようかって」
りっちゃんもそう言いながら右側の布団に向かう。
「もう!いい加減姉離れしなさい!」
そう言いながらも、やっぱり可愛い弟達だ。今日くらい願いを叶えてあげようと、私は真ん中の布団に向かった。
私の部屋の前で、寝間着代わりのスエットに何故か枕を抱えた双子の弟の片われ、いっくんこと逸希がそう声を上げた。
「遅かったね。父さんなんだった?」
心配そうに私にそう言ったのはりっちゃん、理久だ。そしてやっぱり枕を持っている。
双子だけど二卵性だから似ていない弟達は、4月から高3。いっくんはスポーツ万能、勉強は二の次で、ちょっとチャラいんじゃないかと心配になる。りっちゃんは頭が良くて、名前の通り理系の学者タイプかな。どちらも贔屓目じゃなく顔の造りがいいからよくモテる。ちなみに私はいたって普通の顔だ。
「えっとぉ……。都会生活、満喫してこいって……」
視線を泳がせながらそう言って、私は部屋のドアを開ける。
「本当に?父さん、与織姉が家出るの寂しがって泣き落とししてるのかと思った」
背後にいっくんの声を聞きながら、私はドアの横の壁を探り電気を付ける。
現れたのは、古びた自分の部屋。小学生の頃から使っている学習机に、ベッド。作り付けの棚にはお気に入りの本と小物が並んでいる。小学生の頃から変わり映えしないこの部屋の床に、いつもと違うものが置かれていた。
「いつの間に⁈」
私が驚いているのを気にすることなくいっくんはその敷かれた3組の布団の左側に腰を下ろす。
「与織姉と最後の夜だし、小さい頃みたいに3人で寝ようかって」
りっちゃんもそう言いながら右側の布団に向かう。
「もう!いい加減姉離れしなさい!」
そう言いながらも、やっぱり可愛い弟達だ。今日くらい願いを叶えてあげようと、私は真ん中の布団に向かった。