貧乏大家族の私が御曹司と偽装結婚⁈
専務はこれが証拠と言わんばかりに書類の束を持ち上げる。
「そんな! 主任がそんなこと、するはずありません!」
「そうは言ってもねぇ……。だいたい、おかしいと思わない?営業成績トップだった男が、好き好んで事務に回るなんて。そっちのほうが書類の改ざんもしやすかったんだろうけど?」
にわかには信じられない、いや、信じたくない話を聞かされて、目の前が真っ暗になる。血の気が引いて、足元がふらつきそうになる私を見ながら、専務はまた続けた。
「でも、川村の今後は与織子ちゃんの行動一つで変わるんだけどね?」
「それは……いったい……どういうことでしょうか?」
震える声で尋ねると、専務は立ち上がり私の元へやって来た。そして、手にしていた茶封筒を私に差し出した。
「川村との婚約ごっこも終わりだ。君が持っているものは、俺が全てもらうから」
恐る恐るその封筒の中身を確認して、私は愕然としていた。
「"それ"次第で、川村の人生が変わるかもね? 大企業の御曹司が不正取引を行なっていたとセンセーショナルに報道されるか、ひっそりと懲戒解雇となって会社を去るか。さぁ、どっちを選ぶ?」
震える私の手の中にあるのは、一度書いたことのある書類……婚姻届、だった。
「そんな! 主任がそんなこと、するはずありません!」
「そうは言ってもねぇ……。だいたい、おかしいと思わない?営業成績トップだった男が、好き好んで事務に回るなんて。そっちのほうが書類の改ざんもしやすかったんだろうけど?」
にわかには信じられない、いや、信じたくない話を聞かされて、目の前が真っ暗になる。血の気が引いて、足元がふらつきそうになる私を見ながら、専務はまた続けた。
「でも、川村の今後は与織子ちゃんの行動一つで変わるんだけどね?」
「それは……いったい……どういうことでしょうか?」
震える声で尋ねると、専務は立ち上がり私の元へやって来た。そして、手にしていた茶封筒を私に差し出した。
「川村との婚約ごっこも終わりだ。君が持っているものは、俺が全てもらうから」
恐る恐るその封筒の中身を確認して、私は愕然としていた。
「"それ"次第で、川村の人生が変わるかもね? 大企業の御曹司が不正取引を行なっていたとセンセーショナルに報道されるか、ひっそりと懲戒解雇となって会社を去るか。さぁ、どっちを選ぶ?」
震える私の手の中にあるのは、一度書いたことのある書類……婚姻届、だった。