貧乏大家族の私が御曹司と偽装結婚⁈
ただぼんやりと、私は廊下に立ち尽くしていた。手には渡された封筒を握りしめたまま。
「あっ! ごめんなさい!」
不意に開いた備品倉庫の扉。私はその前に立っていたのだ。扉の向こうからそう聞こえ、私は顔を上げた。
「与織子ちゃん?」
用紙の入った束を持ってこちらを見ていたのは、唯一の同期の姿。
「桃花ちゃん……」
同じ事務系の仕事をしているけど、席も離れているし、仕事内容に接点はない。普段はたまにこうして会ったときに立ち話をするくらいだ。
「大丈夫? 何か顔色悪いけど……」
「えっ? あ、大丈夫だよ? 昨日、ちょっと夜更かししちゃったからかな?」
慌ててそう取り繕うと、桃花ちゃんは少し表情を緩めた。
「ならいいんだけど。与織子ちゃんも席戻る? 一緒に帰ろうよ」
屈託のない可愛らしい笑顔でそう言われ、私は少し救われた気分になった。
たわいもない話をしながら戻り、桃花ちゃんとは別れる。向こう側に見える、私の両隣は当たり前だけど空席だ。
「あ、朝木さん。おはよう! ごめん、早速だけどさ」
私の姿を見つけて、宮内さんがそう言いながら私の元へやってきた。
「あっ! ごめんなさい!」
不意に開いた備品倉庫の扉。私はその前に立っていたのだ。扉の向こうからそう聞こえ、私は顔を上げた。
「与織子ちゃん?」
用紙の入った束を持ってこちらを見ていたのは、唯一の同期の姿。
「桃花ちゃん……」
同じ事務系の仕事をしているけど、席も離れているし、仕事内容に接点はない。普段はたまにこうして会ったときに立ち話をするくらいだ。
「大丈夫? 何か顔色悪いけど……」
「えっ? あ、大丈夫だよ? 昨日、ちょっと夜更かししちゃったからかな?」
慌ててそう取り繕うと、桃花ちゃんは少し表情を緩めた。
「ならいいんだけど。与織子ちゃんも席戻る? 一緒に帰ろうよ」
屈託のない可愛らしい笑顔でそう言われ、私は少し救われた気分になった。
たわいもない話をしながら戻り、桃花ちゃんとは別れる。向こう側に見える、私の両隣は当たり前だけど空席だ。
「あ、朝木さん。おはよう! ごめん、早速だけどさ」
私の姿を見つけて、宮内さんがそう言いながら私の元へやってきた。