貧乏大家族の私が御曹司と偽装結婚⁈
そうだ。今日は、私が頑張らなきゃいけないんだ。創ちゃんは日頃から、私と、そして周りが困らないようたくさん仕事を教えてくれていた。

だから……。創ちゃんに恥ずかしくない仕事をしなきゃ。

そう自分を奮い立たせて、私は宮内さんの話しを聞いた。

さすがに一人だと、それなりに忙しかった。メールや電話での問い合わせ、営業さん達からの発注書や見積もりの作成依頼。とにかく、余計なことは考えず、仕事にだけ打ち込んだ。

お昼も今日は自席でとった。課長には「ゆっくり休憩しておいで」と声を掛けてもらったけど、なんとなく一人になりたくなくて、電話がなったら取って下さいと課長にお願いしてそのままその場にいた。

人の気配がするほうが安心する……

澪さんが作ってくれた美味しいお弁当も、今日はなんの味もしない気がする。それでも、私は残さず全部食べた。私が今、倒れるわけにはいかないから。

例え、創ちゃんが守りたかったものを失うことになっても、私は創ちゃんを守ることができればそれでいい。

だから……とにかく今日一日仕事を乗り切って、そして帰ってからすることがある。

専務から告げられた、婚姻届の提出期限は明日の朝なんだから。
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